共有すべきこと①何のために働き方改革をするのか?
「さあ!働き方改革だ!」
と言っても、現場の先生方の多くは正直あまりピンと来ていません。
「まあ、大事だよね・・・」「でも、何をするの(何をしてくれるの)?」
こんな感じで、自分事と感じていなかったり、
管理職や教育委員会が何かやってくれるものだと思い込んでいたりと、
なかなか働き方改革を始めるための意識醸成ができていない現状です。
年度当初、私は、教務主任の立場として、事前に管理職の許可を得て、
「働き方改革の進め方」について3つの話をしました。
関連記事はこちら↓
⇒働き方改革を始める前に、教職員で共有すべき3つのこと②業務改善の4つの方法
⇒働き方改革を始める前に、教職員で共有すべき3つのこと③業務改善の3つの心得
本記事ではその1つ目です。
働き方改革は”子供のため”
共有すべきこと①
何のために働き方改革をするのか?
結論から言うと、働き方改革は”子供のため”にするのです。
働き方改革の取組の多くは、教員の負担軽減につながるものです。
教員が健康的に持続的に働ける環境をつくることで、
結果的に子供と向き合うことができるようになるという考え方です。
わたしは、なぜ働き方改革を進めなくてなならないのかを、
3つの問題に整理して共有しました。
問題①教員の人手不足
(1)教員の人手不足
まずは、教育の質を担保するための現状が脅かされていることを共有しました。
令和5年度教員採用試験の倍率は、例年にも増して低下傾向でした。
最も低倍率だったのは大分県で、なんと、1.0倍です。
200人の採用枠に対して、208人が受験したそうです。
この倍率低下は、有能な人材が他業界に流出していることを意味しています。
担任が実際に足りなくなるほどの窮状も起こっています。
つまりこれは、教員の人手不足の問題です。
問題②教員のキャリア形成
(2)教員のキャリア形成
次に、この人手不足は、既に現実のものとなってきていることを共有しました。
学校によっては、中学校志望の臨採が小学校に配属されたり、その逆があったりします。
教務主任などのやり手がいなくて、命じられて泣く泣く就く担任の先生もいます。
本校では、たまたま中学校志望の臨採の先生がいたので、
事前に本人の許可を得て、
小学校配属が貴重な経験である一方で、自分の進路通りにいかない葛藤があることを
紹介させていただきました。
つまりこれは、教員のキャリア形成の問題です。
問題③教員の健康
(3)教員の健康
心の病で休職した教員の数は、
2021年に5,897人(小中計)で過去最高を記録しました。
今までの職場でもそのような先生を何人も目の当たりにしてきました。
残念ながら、そのような先生への周囲の目は優しくありません・・・
「休まれるとこっちの負担が増える」
「担任じゃないのに休むなんてずるい」
これまでの教員が積み重ねてきた日本の教育は、よい面もたくさんあります。
しかし、半ば形骸化している業務や個々のこだわりによって減らない業務など、
業務が肥大化してしまっていることに本人達は目が向きません。
それによって苦しんでいる先生もいるのに、
「大事なことなんだから、あなたもやるんだよ」
と、足並みを揃えさせようとする人もいます。
先生が休んでからでは遅い、体や心を壊してからでは遅いということを伝えました。
つまり、教員の健康の問題です。
問題の原因は、教員自身にもある
人気のない職場を、自分たちで作ってしまっていることに気付く
「もっとできる若手が入ってくれればねえ・・・」
「中学校志望の子が小学校配属なんて、かわいそうに・・・」
極めて不快な発言ですが、上のような声が聞こえてくることがあります。
「じゃあ、そういう問題を解決できるような職場にしましょうよ!」
そう言いました。
自分たちでそのような職場を作る必要があるということを伝えました。
もちろん、学校だけでできることと、教育委員会等との連携でできることがありますが。
未来の若者が目指したくなること
現在の教員が進路に希望をもち元気に働けること
この2つが教育の質を向上させて子供に還元されること
つまり、最終的には、働き方改革は”子供のため”にするのです。
このようにして、まずは、何のために働き方改革をするのかを共有したことで、
本校の働き方改革が動き出しました。
具体的な取組を検討する中で迷ったときは、この目的に立ち返って考えていきましょう。
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