小学校での根強い慣習として行われている、いわゆる”単元テスト”。
私は、この単元テストはいらないと考えています。
代わりに定期テストを実施するか、
テストを廃止して日頃の授業の評価を充実させるべきと考えています。
そうすることで、
子供の学びと教師の働き方改革の両方に
効果があります!
単元テストの問題点を3つ挙げます。
単元テストの問題点①授業時間を圧迫する
単元テストは、6年生の場合、
国語、社会、算数、理科の4教科に加え、家庭科や保健など多くの教科で行います。
単元テストは、小単元の数とほぼ同じ数だけ枚数があるので、
4教科だけでも年間60~70枚あることになります。
単元テストは、多くの場合、授業1時間に1枚行います。
単元テストを行うこの時間、実は年間指導計画には含まれていません。
つまり、年間指導計画とは別の授業時間を
60~70時間かけて行っているのです。
よく担任の先生から
「授業進度が遅れて厳しいよ~」
「学期末までに授業が予定通り終わらないよ~」
という声が聞こえてきますが、それは、当たり前です。
年間指導計画で定められた授業時間以外に、
単元テストでそれだけの時間をかけているのですから・・・
単元テストの問題点②教材費がかかる
単元テストの教材費は1教科で年間900円ほど。
国語、社会、算数、理科の4教科を合わせると3,600円。
それが6年間続くと、
3,600円 × 6年間 = 21,600円
※低学年は4教科ではないですが、計算を単純化しました。
これを、学級費として保護者が負担するのです。
昨今、全ての家庭が問題なく教材費を支払えるわけではなくなってきました。
そういう実態の中で、21,600円の負担は決して小さくありません。
単元テストの問題点③子供、保護者、そして教師の偏った学力観の形成
私はこの点が一番根深い問題だと考えています。
単元テストは、子供、保護者の偏った学力観を形成してしまいます。
理由は、テストの点数と通知表が大きく関係しているからです。
教師は、通知表の成績を付ける際、単元テストの点数が大きく影響しがちです。
通知表の成績の基準でよくあるのが、以下のような目安。
◎よくできる(A)90点以上 |
○できる(B) 70~89点 |
△もう少し(C) 69点以下 |
極端な例ですが、例えば、
単元テストで90点をとった子はギリギリ「よくできる」をゲット!
一方、89点をとった子は惜しくも「できる」となってしまうのです。
もちろん、日頃の授業の要所要所でとった評価も加味して、
89点でも「よくできる」に上げる場合もあります。
一見、子供や保護者にとっても点数が成績に影響するのは納得でしょう。
しかし、それにより、
「授業のときはどうであれ、テストの結果さえよければ成績アップ」
「たまたまテストでよくない点をとってしまい成績ダウン」
という結果を目の当たりにすると、
点数主義、知識技能重視の考え方を
生み出してしまうのです。
また、単元テストは、教師の偏った学力観も形成してしまいます。
単元テストにはその小単元のポイントとなる内容が出題されています。
教師はそれを予め確認しておき、
出題内容を重点的に教えるような授業展開
になってしまうのです。
もちろん、
「ここテストに出るからチェックですよ~!」
なんてことは子供に言いません。
でも、教師の親切心から、または先ほどのテストの点数重視の思考から、
「ここをちゃんと教えないとテストのクラス平均点に響いてしまう!」
と思ってガチガチでお決まりの授業展開になってしまうのです。
これでは、まさに、テストのための授業。
その結果、子供の興味・関心や学習状況によって臨機応変に進める
柔軟な授業ができなくなっているのです。
これでは、「令和の日本型学校教育」で掲げる個別最適な学びなんて
できるはずがありません。
単元テストの代わりに、どうすればよいのか?
私の考える案は2つです。
1つ目は、中間テストや期末テストなど、定期的なテストを行うこと。
メリットは以下の通りです。
①テスト回数そのものが減るので、授業時間の圧迫を軽減できる。 |
②テストを重視する教師や保護者の意見を汲み取ることができる。 |
③自校で作成すれば、教材費カット!(作成は大変だが・・・) |
2つ目は、テストを廃止し、日頃の授業の評価を充実させること。
メリットは以下の通りです。
①テスト回数が0になるので、授業時間の圧迫が完全になくなる。 |
②教師の授業中の評価の目が鍛えられる。 |
③テストの点数に囚われない柔軟な授業が増える。 |
④教材費完全カット! |
恥ずかしながら、これはまだ私の心の中だけでの案であり、
今後本校で実践することができたらまた詳細を報告いたします。
ぜひ助言などがありましたらお願いいたします。
全ては、子供のよりよい学びのために。
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