生徒指導提要の改訂版が令和4年12月に示されました。
その中でも、これからの時代をつくる子供たちを育てるために
新たに示されたポイントを2つ紹介します。
①不適切な指導の具体例が示された
体罰が減ってきたとはいえ、
未だに根強く残ってしまっていることを問題視し、
懲戒と体罰の区別について改めて示されています。
身体に対する侵害や肉体的苦痛を与えたと判断されるものは、
明らかに体罰と判断されますが、
原則、体罰に当たるかどうかは、
当該児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的・時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的かつ客観的に考え、個々の事案ごとに判断する必要があります。 |
とされています。
そして、体罰の他にも、決して許される行為でないものとして、
不適切な指導が示されました。
不適切な指導の具体例は以下の通りです。
①大声で怒鳴る、ものを叩く・投げる等の威圧的、感情的な言動で指導する。 |
②児童生徒の言い分を聞かず、事実確認が不十分なまま思い込みで指導する。 |
③組織的な対応を全く考慮せず、独断で指導する。 |
④殊更に児童生徒の面前で叱責するなど、児童生徒の尊厳やプライバシーを 損なうような指導を行う。 |
⑤児童生徒が著しく不安感や圧迫感を感じる場所で指導する。 |
⑥他の児童生徒に連帯責任を負わせることで、本人に必要以上の負担感や罪 悪感を与える指導を行う。 |
⑦指導後に教室に一人にする、一人で帰らせる、保護者に連絡しないなど、適 切なフォローを行わない。 |
特に、①の大声で怒鳴るという指導は、
正直、多くの学校で見られる風景ではないでしょうか。
大声で怒鳴る行為は、決して頻繁にするべきものではありません。
ですが、児童の安全面を踏まえたときに、
どうしても大声で怒鳴る指導が必要な場面はあると私自身も思ってきました。
しかし、今回の生徒指導提要では、”不適切な指導”として
完全に位置付けられました。
このことは、教員にとって、自身の指導の在り方を見直す貴重な機会に
なるのではないでしょうか。
大事なのは、教員が意図する趣旨を子供に理解してもらうことであって、
決して恐怖で押さえ込むことではないということ。
②校則の見直しに児童生徒が参画することが示された
ルールは守るもの、
という認識から、
ルールは子供と一緒に見直し作るもの、
という認識に変わることが求められるようになりました。
このことについては、大賛成!
もちろん、ルールを見直す際には、
そのルールができた経緯を知る必要があります。
その上で、児童生徒がより過ごしやすいルールにするために、
児童生徒自身が問題提起をして、
それを教員があしらわずに向き合って議論して、
共に納得いく形でルールにするプロセスは、
大人になってもっとも頻繁に使う力だと思います。
この改訂ポイントの根底には、こども基本法の施行があります。
子供には、児童の権利において、意見を表明する権利があります。
大事なのは、発達段階を考慮しつつも、大人はそれらの意見に聞く耳を
持たなければならないということ。
生徒指導提要の改訂によって、我々の昔ながらの指導の在り方の問題点が
明確に示されました。
自分が、自分たちが新しい世の中をつくっていくんだと思えるような指導を
していきたいものですね。
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