新しい生徒指導提要を踏まえた授業とは?

子供の学び

令和4年12月に示された新しい生徒指導提要では、

これからの時代を担う子供たちに必要な資質・能力を

育てるための指導の在り方が示されました。

その中でも、特に以下の点について初めて示されました。

校則の見直しに児童生徒が参画すること

この点は、児童の権利に関する条約が根拠となっているものです。

その第12条には、

子供は自分の意見を表明する権利をもっていること

と定められています。

そして、学習指導と生徒指導の関連を意識しながら

日々の教育活動を充実させることとも示されています。




「校則を考えることに、児童の意見を取り入れろってこと?」

「そんなことをしたら児童がわがままになってしまうんじゃ?」

「それで安定的な校則ができるのか心配・・・」

現場の教員は、そのような悩みをもっているのではないでしょうか?




今回、わたし(教務主任)は出授業である6年総合的な学習の時間において

新しい生徒指導提要で示された「校則の見直しに対する児童の参画」を

踏まえた単元を作り出し、実践してみました。

本記事ではその概要を簡単に御紹介します。


単元名「わたしたちの提案~学校は変えられる~」

①単元の概要

本単元で何をしたかというと、シンプルに言えば、

よりよい学校生活について子供が大人に提案する活動を行いました。

学級や学年に関することは担任や学年の先生へ提案します。

全校に関することは担当の先生や場合によっては管理職に提案します。

市全体に関することは市役所に提案します。




どんなことでもよいので、子供が日々の学校生活について

不満に思っていることや、もっとよくしたいと思っていることを提案します。

しかし、ただ単に「こう変えたい」「こう変えてほしい」と訴えるだけでは、

世の中変わるはずがありません。




なので、現状ではどのような問題が起こっているのかを客観的に把握し、

改善のために信頼性の高い根拠を探し、

賛同してくれる先生や他学級・他学年の子供たちに働きかけ、

然るべき方法で提案する必要が生じてくるのです。




このようにして、子供たちは、「本気で変えたいこと」を問題に掲げ、

何としてもその提案の実現に向けて、動き出すことになるのです。

そのような単元の流れをイメージして設計しました。


②育てられる資質・能力

総合的な学習の時間として行うからには、相応の目標を設定して評価しなければなりません。

その目標を達成するためには、探究的な見方・考え方を働かせて、

問題解決的な活動が発展的に繰り返されるような学習過程を組む必要があります。

以下が本単元に設定した目標です。

知・技・学校生活の仕組みやきまり等にはさまざまな根拠や経緯があるという知識
・学校生活の仕組みやきまり等にはさまざまな立場の人の思いが込められているという知識
・提案の質を高めるために適切な方法で情報収集をする技能
・提案を実現するために適切な相手に適切な方法で提案する技能
思・判・表・現状の学校生活について問題を見いだし、収集した情報を整理・分析により解決する思考力・判断力・表現力
・学校の一員としての誇りと愛着を育み、学んだことを自身の行動に生かそうとする態度



③学校生活自体を学習対象にすべき理由

学校生活全般を学習対象とすることが、

総合的な学習の時間の目標を実現するのにふさわしい探究課題であると考えました。

総合的な学習の時間の目標は以下の通りです。

探究的な見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)探究的な学習の過程において,課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け,課題に関わる概念を形成し,探究的な学習のよさを理解するようにする。
(2)実社会や実生活の中から問いを見いだし,自分で課題を立て,情報を集め,整理・分析して,まとめ・表現することができるようにする。
(3)探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,積極的に社会に参画しようとする態度を養う。  

学校生活自体を上の目標と照らし合わせてみると、以下のことが言えます。

①学校はさまざまな根拠や経緯、立場の人の思いで成り立っているため、

その在り方を変えるためには必然的に学習・生活経験等を生かして

広範な事象を多様な角度から俯瞰して捉える学習となります。

つまり、探究的な見方・考え方を働かせることが期待できます。

②フィードバックを得やすく、問題解決的な活動を発展的に繰り返しやすいため、

探究的な学習のよさを理解することが期待できます。

③児童にとって身近な学習対象であるため、

児童にとって切実感のある問いを見いだすことが期待できます。

④提案の結果が児童にすぐ反映されやすいため、

積極的に社会に参画しようとする態度を養うことが期待できます。




というわけで、新しい生徒指導提要で示された

「校則の見直しに児童生徒が参画すること」を具現化するために、

総合的な学習の時間「わたしたちの提案~学校は変えられる~」をつくってみました。

取組の結果は、また後ほどまとめたいと思います。

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