新しい生徒指導提要を踏まえた授業の具体例

子供の学び

令和4年12月に示された新しい生徒指導提要では、

これからの時代を担う子供たちに必要な資質・能力を

育てるための指導の在り方が示されました。

その中でも、特に以下の点について初めて示されました。

校則の見直しに児童生徒が参画すること

この点は、児童の権利に関する条約が根拠となっているものです。

その第12条には、

子供は自分の意見を表明する権利をもっていること

と定められています。

そして、学習指導と生徒指導の関連を意識しながら

日々の教育活動を充実させることとも示されています。




わたし(教務主任)は出授業である6年総合的な学習の時間において

新しい生徒指導提要で示された「校則の見直しに対する児童の参画」を

踏まえた単元を作り出し、実践してみました。

前記事ではその概要を紹介しました。

前記事「新しい生徒指導提要を踏まえた授業」

本記事では、その授業で子供たちが作り出した提案を紹介します。

実現できた提案、実現できなかった提案、いろいろありますが、

どの提案も、自分たちの切実な問題意識からスタートし、

しっかり根拠を踏まえてつくることができました。

①教育課程の改善

教育課程の改善を提案したグループがいます。

下校時刻の遅さに問題を見いだし、子供の放課後時間の確保を目指した案です。

友達と遊ぶ時間や自分のやりたいことをやる時間がほしい!

そんな子供たちの思いからスタートしました。

子供たちは、まず、下校時刻を早めた日課を作成し始めました。

下校時刻を早めるにはどうするか?

それは、6時間ではなく5時間授業にすること!

でも、それが難しいということを、2つの事実から気づきます。

①学習指導要領で標準時数が示されていること
②行事時数や余剰時数を考慮して標準時数が確保されていること

標準時数を確保しつつ下校時刻を早めるにはどうするか?

それは、行事時数を減らすこと!

そこで、各担当の教員に対し、行事の削減の打診に当たりました。

安全教育主任には、避難訓練や一斉下校の削減を・・・

環境教育主任には、除草作業の削減を・・・

先生方の話を聞く中で、行事の削減は教員の働き方改革にもなることに

気づきました。

そして、一部の曜日にて5時間授業とした日課及び教育課程を、

教育過程検討委員会と職員会議にて提案しました。

もちろん、修正箇所はありましたが、

見事趣旨を承認されて可決!

ただし、来年度から開始なので、自分たちはその日課で生活することはできません。

子供たちは、自分たちがその恩恵を得られないことに若干の寂しさを感じつつ、

後輩によいお土産を残せたことに満足しているようでした。

②先生紹介プロジェクト

先生紹介プロジェクトと称して先生方の紹介動画をつくったグループがいます。

コロナ禍で他学年・他学級の先生の顔や名前をなかなか知ることができないということに

問題を見いだし、先生方のことを全校児童に知ってもらおうとした案です。

先生方のことをもっと知ってもらい、互いに声をかけ合う学校になってほしい!

そんな子供たちの思いからスタートしました。

子供たちは、まず、先生方に賛同してもらうために、提案の趣旨を説明して回りました。

嬉しいことに、全員の教職員が賛同していただき、撮影に協力していただきました。

これは、ひとえに子供たちの礼儀正しさだと思います。

忙しいであろう先生に対し、誠実な態度でお願いをする姿が見られました。

撮影が終わると、自分たちで編集作業!

互いの進捗状況を把握し合うために、Teamsをフル活用して連絡を取り合っていました。

データのやりとり、動画編集のミスチェックなど、自然とグループ内での役割分担が

明確になっていきました。

そして、完成後は、撮影された先生方御本人にチェックしていただき、

あとは公開するだけ。

何と、今日から2週間、その公開期間として先生方の同意を得ることができました。

各学級の子供たちがどんな反応をするか楽しみです。




紹介した事例は、ほんの一握りです。

子供たちの、予想を超えた問題解決能力は、教員自身も刺激になりました。

どんどん学校の仕組みを知ろうとする彼らに対し、職員会議資料(マル秘以外)を

惜しみなく提供しました。

このような提案こそが、校則見直しに参画する資質・能力を備えた児童を

育てることができると信じています。

次回以降も価値のある提案をたくさん紹介したいと思います。

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