新しい生徒指導提要を踏まえた授業の具体例③

子供の学び

令和4年12月に示された新しい生徒指導提要では、

これからの時代を担う子供たちに必要な資質・能力を

育てるための指導の在り方が示されました。

その中でも、特に以下の点について初めて示されました。

校則の見直しに児童生徒が参画すること

この点は、児童の権利に関する条約が根拠となっているものです。

その第12条には、

子供は自分の意見を表明する権利をもっていること

と定められています。

そして、学習指導と生徒指導の関連を意識しながら

日々の教育活動を充実させることとも示されています。




わたし(教務主任)は出授業である6年総合的な学習の時間において

新しい生徒指導提要で示された「校則の見直しに対する児童の参画」を

踏まえた単元を作り出し、実践してみました。

前記事ではその概要を紹介しました。

前記事「新しい生徒指導提要を踏まえた授業」

また、前記事と前々記事では、提案の具体例を紹介しました。

前々記事「新しい生徒指導提要を踏まえた授業の具体例」

前記事「新しい生徒指導提要を踏まえた授業の具体例②」

本記事では、その授業で子供たちが作り出した提案その3を紹介します。

実現できた提案、実現できなかった提案、いろいろありますが、

どの提案も、自分たちの切実な問題意識からスタートし、

しっかり根拠を踏まえてつくることができました。

⑤シャーペンの使用

シャーペンの使用を目指したグループがいます。

鉛筆の不便さに問題を見いだし、シャーペンの使用による学習の効率化を

目指した案です。

子供たちは、まず、現状の学校のきまりにおいて

シャーペンが禁止されている理由を調べることにしました。

禁止理由は既に教員間で共有している情報ですが、

一番経緯をよく知っているのは生徒指導主任です。

なので、子供たちは生徒指導主任に聞きに行きました。

聞いてみると、理由は複数有りました。

例えば・・・

・シャーペンだと筆圧を意識して書けない。

・シャーペンだと止め、はね、はらいをうまく書けない。

・シャーペンだと遊んでしまう。

などです。

子供たちは、これら一つ一つの禁止理由に対する解決策を

粘り強く見つけていきました。

・鉛筆のような書き心地のシャーペンがある。

などです。

しかし、ここで壁にぶつかります。

昨年度、禁止されているにも関わらずシャーペンを持ってきて、

遊んだことを指導された事実があったのです。

この事実があるので、シャーペンの使用について先生方から猛反対を

いただいてしまいました。

そして、子供たちもそれを覆すほどの論を持ち合わせていませんでした。

まずは現状のきまりを守ることから始めるべき。

返す言葉もありませんよね・・・

こうして、子供たちは一旦シャーペンの提案をあきらめ、

まずは学校のきまりを徹底して守ることに力を注ぎ始めたのです。

総合的な学習の時間としては、今回はここで終了してしまいました。

しかし、現状に問題提起をできたこと、自分たちの現状を見直すことができたこと

などについて、非常に価値のある提案だったと思います。




今回紹介した提案は、実現できなかった提案です。

実現できずに終わると、どうしても学習の満足感は下がってしまいます。

しかし、賛同者がいたことや、自分たちの提案の影響力などに目を向けさせ、

自分たちの考えが100%間違っているわけではないことを伝えました。

正解、不正解が決まっているわけではない。

このとき、ここにいた人間が、そう考えただけの話。

時代や場所が変われば、きっと結果も違っていた。

これからも、「おかしい」と思ったことは遠慮なく声を発すること。

例え大人に対しても。

そして、返ってきた言葉や結果を真摯に受け止めること。

大人になっても、この流れはずっと繰り返されるものですよね。

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