教師は、自分のこれまでの経験等に基づいた信念や価値観をもっています。
そして、その信念や価値観に基づいて日々子供と向き合っています。
そういった教師の姿勢があったからこそ、
教師の教えが心に響いた子供たちも多いのではないでしょうか。
そんな中、
平成29年から学習指導要領が新しくなり、
令和2年にGIGAスクール構想の実現に関して1人1台端末が整備され、
令和3年には令和の日本型教育の構築を目指すという方針が示され、
同年の給特法改正により学校における働き方改革の緊急性が増すなど、
ここ数年で国の教育方針は大きく転換、発展してきています。
しかし、実は多くの教員はこれらの変化についてきていません。
原因は、変化に対する理解不足と反発です。
特に問題なのは反発です。
「今までの教育手法でうまくいっていたのだから今更変えられないよ」と、
教師は、個々の経験を振り返り、このような結論に至るのです。
これが、教師がこれまでの経験や感情を最優先として実践してきた
ツケでもあるのです。
では、今後の教師がもつべき視点・・・
それは、教育効果の客観的な見直しです。
本記事では、教師が教育効果を客観的に見直すきっかけになるに
ドンピシャの本を紹介します。
「学力」の経済学
「学力」の経済学/中室 牧子2015/Discover
この本では、一般的に「正しい」「正しくない」と言われている教育手法について、
客観的なデータを用い「正し」「正しくない」を結論づけています。
例えば、子供への「ご褒美」について、みなさんは賛成?反対?
「ご褒美で子供を釣らなければならないなんて、親失格では」
と思い悩む方も多いかもしれません。
「ご褒美」についての研究で明らかになっていることは、
①結果でなく過程にご褒美を設ける |
②長期でなく短期でご褒美を設ける |
つまり、
「半年後のテストで100点とったらご褒美」ではなく、
「明日1時間勉強できたらご褒美」の方が子供が行動するのです。
また、テレビやゲームをすることについて、みなさんは賛成?反対?
「テレビやゲームをしすぎると子供に悪影響がある」
と思い悩む方も多いかもしれません。
「テレビやゲーム」についての研究で明らかになっていることは、
①内容によってはストレス発散や思考力向上になる |
②1日2時間を超えると悪影響が出る |
つまり、
「テレビやゲームは全て悪影響」であるわけではなく、
「内容や時間による」のです。
このように、教育効果を客観的に示す研究結果が目白押しです。
もし、これを読んでいる教師が、
「こうであるはずだ」と頑なに考えを固持していたとしたら、
「本当はこうかも?」と思えるきっかけになれば幸いです。
教育現場ではなかなかデータを受け入れられません。
しかし、一歩引いてデータの信頼性について共有することができれば、
教育活動の質向上と、働き方改革推進につながると思います。
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